○試験用・事業用



旅客列車用ではなく、新技術の試験や工事、検測用に作られた車両で、
“クモユニ”の“ユ”は郵便車、“ニ”は荷物車を表し、
“クモヤ”の“ヤ”は職用車を表す記号で、職用車とは試験車、機器運搬、保線用など事業用車両の総称である。
新幹線の場合は最新技術を常に取り入れて車両開発を行っているため、試験用車両も多く誕生している。


 在来線


国鉄クモユ141形電車

鉄道郵便輸送用として製造された郵便電車で、郵政省が所有し、国鉄に車籍があった私有車両である。。
全室が郵便車となった初めての形式であり、1967年に5両、1968年に5両の計10両が製造された。
1両での運用を考慮して1M方式両運転台で製造され、主電動機はMT57形直流直巻電動機、100kWとなる。
1〜5は新前橋電車区(現・高崎車両センター)に配置、1986年10月1日に長岡運転所(現・長岡車両センター)に転属、
6〜10は宮原運転所(現・宮原総合運転所)に配置、1978年10月2日に長野運転所(現・長野総合車両センター)に転属。
1986年の鉄道郵便輸送廃止により全車が廃車。


国鉄143系電車

クモユ141形をベースに発電ブレーキ、抑速ブレーキを付加して誕生した1M方式の事業用直流電車である。
両運転台、主電動機はMT57形直流直巻電動機、100kW、抵抗制御、中空軸平行カルダン駆動方式である。
牽引車、荷物車、郵便車として誕生している。

クモヤ143形0番台

牽引車として1977年から1980年までに21両が製造され、国鉄分割民営化後は全車がJR東日本に継承された。
3は新幹線用クモヤ743形に改造、17は廃車後に訓練車、18は2010年1月に廃車後解体。

クモヤ143形50番台

荷物輸送廃止に伴い、余剰となったクモニ143形から2両が新津車両所で改造され、全車がJR東日本に継承。

クモニ143形

国鉄荷物車初の新性能電車として8両が製造された。
1986年に荷物輸送廃止に伴い6両がクモハ123形に改造、2両がクモヤ143形50番台に改造された。

クモニ143形

1982年に郵便車と連結する列車が電車化されるのに伴い新造された郵政省所有の郵便車で、3両が製造された。
1986年に鉄道郵便廃止に伴い製造から4年で廃車された。

クモユニ143形

身延線に投入するために路線需要を考慮して郵便・荷物合造車として1981年に4両が製造された。
1985年に長岡運転所に転籍、1986年に幕張電車区に転籍して房総地区の新聞輸送に従事、
1996年に1、3は長野総合車両所に転籍、入れ替えや職員輸送に従事、2は除籍されて大井工場の入換車
4は小山電車区に転籍後、のちに廃車。


国鉄145系電車

101系の改造名義で製造された1M方式の事業用直流電車である。
両運転台、主電動機はMT46A形直流直巻電動機、クモハ145形1000番台はMT54形主電動機、
機関出力100kW、永久直列抵抗制御、中空軸平行カルダン駆動方式である。

クモヤ145形

1980年から製造された牽引車で、車両基地の入れ換えやマヤ34形検測車の牽引に使用される。
電動車は1000番台を除き種車のMT46A主電動機を使用する。
0番台は1980年から1981年にかけて9両が改造、
後に5と8の2両が交流電化区間で制御車として使用できるように改造され50番台に区分。
100番台は1982年から1986年にかけて26両が改造、
車体中央部に救援機材搭載用のスペースと天井にクレーンを設置、救援車としても使用。
200番台は1両のみ改造、交流区間で制御車としての機器を搭載、100番台に準じて救援車として使用。
600番台は1983年、1984年に2両改造、狭小断面トンネル対応のパンタグラフ搭載。
JR西日本所属の17両は主電動機をMT54系に換装、原番+1000に付番。

クモル145形、クル144形

1979年から1981年にかけて製造された配給車で、2両編成×8本=16両が改造。
多くの荷物を運搬できるように荷台部分が無蓋車のようになっているのが特徴的。
制御電動車であるクモル145形と制御車であるクル144形で編成を組む。
JR西日本所属の3編成3両は主電動機をMT54系に換装、原番+1000に付番。


国鉄147系電車

101系の改造名義で製造された1M方式新瀬能電車の事業用直流電車である。
郵便・荷物合造車であるクモユニ147形の1形式のみが存在、
145系事業用電車に勾配抑速ブレーキを搭載、車体はクモユニ143形に準ずる。
国鉄の郵便・荷物輸送全面撤退に伴い1987年にクモハ1233形40番台に改造。


国鉄191系電車

181系を種車に直流電気検測用試験車に改造された事業用直流電車である。
1973年5月に小倉工場(現・小倉総合車両センター)で特急形直流電車を種車に改造された。
2M方式の片運転台、主電動機などは種車を踏襲している。
田町電車区(現・田町車両センター)に配属、1983年に廃車。

クモヤ191形/サハ180-5を種車に改造、信号設備関係を検測。1の1両のみ製造。
クモヤ190形/モハシ180-11を種車に改造、電力関係を計測。1の1両のみ製造。


国鉄193系電車

ATC車上装置を搭載した直流電気検測用試験車の事業用直流電車である。
基本番台は1980年に近畿車輛で新造され、国鉄分割民営化後にJR東日本に継承。
50番台は1966年製造の交直流電気検測車を1987年に改造、
国鉄分割民営化後はJR東海に継承。
2M方式の片運転台、主電動機などは種車を踏襲している。

クモヤ193形/電力関係を検測。1の1両のみ製造。
クモヤ193形50番台/電力関係を検測。51の1両のみ改造。
クモヤ192形/信号設備関係を検測。1の1両のみ製造。
クモヤ192形50番台/信号設備関係を検測。51の1両のみ改造。


国鉄443系電車

国鉄が1975年に製造した電気検測用試験車の事業用交直流電車である。
車体は191系に準じており、前面は183系、485系の特急形を踏襲している。
2両編成×2本=4両が近畿車輛で製造された。
国鉄分割民営化後に1はJR東日本、2はJR西日本に継承。
1は2003年にE491系に置き換えで廃車されている。

クモヤ443形/架線関係を計測。交流50Hz、交流60Hz、直流の計測が可能。
クモヤ442形/信号関係を計測。


JR東日本E491系電車

「East i-E」の愛称を持つ電化狭軌区間の軌道、架線、信号の検測用車両。
老朽化した443系やマヤ34形の代替として2002年に日立製作所、近畿車輛で製造された。
「East i-E」は「イーストアイ・ダッシュイー」と読む。
3両編成×1本=3両が勝田車両センターに配置されている。
クヤE490とモヤE490の間に建築限界測定車マヤ50形5001を連結可能。
JR東日本と線路を接する他社の狭軌区間の検測も行うことがある。
全長20m、IGBTサイリスタ素子VVVFインバータ制御。

クモヤE491-1/信号、通信関係、地上信号機器、通信機器の測定装置、測定用の下枠交差式パンタグラフ装備。
モヤE490-1/電力関係、架線測定用の装置、集電用シングルアーム式パンタグラフ2基装備。
クヤE490-1/軌道関係、軌道状態測定用の装置、測定用の下枠交差式パンタグラフ装備。


国鉄493系電車

51系旧型電車のクモハ51085、クモハ51086を種車に改造された交直流試験車である。
1961年に盛岡工場でクモハ51086は電源車クモヤ492-1、クモハ51086は電動車クモヤ493-1に改造。
直流1,500V、交流50Hz、20,000V、交流60Hz、20,000Vの全電化区間が走行可能な設計になっている。
1964年3月には架線試験車に改造された。


国鉄495系電車

国鉄が1966年に製造した架線試験用の事業用交直流電車である。
直流1,500V、交流50Hz、20,000V、交流60Hz、20,000Vの全電化区間が走行可能な設計になっていて、
車体は475系に準じており、前面は非貫通3枚窓で電装品は481系がベースとなっている。
2両編成×1本=2両が日立製作所笹戸工場で製造された。
新造後、勝田電車区に配置、1975年金沢運転所に転属、牽引車兼用に改造、
国鉄分割民営化後はJR東海東に継承、交流専用として193系50番台に改造、
1998年にキヤ95系に置き換えで廃車されている。

クモヤ495形/パンタグラフ2基は集電専用。1982年に撤去。
クモヤ494形/パンタグラフ2基は集電、測定兼用。


国鉄591系電車

曲線の高速運転のため振り子式を試作した試験用交直流電車である。
自然振り子式の試作試験車として1970年に川崎重工業よって3車体1両が製造された。
3車体4台車の連接構造で、前面デザインは非貫通低運転台と非貫通高運転台と異なる。
主電動機はMT59X直流直巻主電動機×4基とMT58X直流複巻主電動機×4基を搭載、
抵抗制御と界磁チョッパ制御を併用、アルミニウム車体の採用などが試みられた。
連接構造問題が生じたため、1971年に中間車を廃止して連接部分の台車を先頭車付け替える工事が行われた。
3車体1両から2両になったため、低運転台車がクモハ591形、高運転台車がクモハ590形となった。
落成後は仙台運転所に配置、東北本線で試験、その後奥羽本線、羽越本線、鹿児島本線で走行試験を実施、
1973年の信越本線での試験結果を基に国鉄唯一の振り子式381系が開発された。
試験終了後は岡谷駅構内留置されていたが、1980年3月26日付けで廃車、長野工場で解体された。


国鉄791系電車

国鉄が1959年に製造した交流電化試験用の事業用交流電車である。
誕生当時はモヤ94形94000を名乗っていたが、同年6月の称号改正でクモヤ791形1となった。
車体は153系に準じており、両運転台、20m級で、セミクロスシートが設置されていた。
電気方式は交流20,000V、60Hz、主電動機は単相交流整流子電動機、
駆動装置は中空軸平行カルダン駆動方式 である。
落成後は敦賀第二機関区に配置、北陸本線で試験、1962年10月に南福岡電車区に転属、
1972年12月に交流同期電動機の試験、
試験後は南福岡電車区において入換・牽引用に使用、1980年5月に廃車。


JR東日本E991系電車

「TRY-Z」の愛称を持つ1994年に製作された在来線交直流両用試験電車。
理想の鉄道システムの実現を目標に製造、「TRY-Z」は「トライゼット」と読む。
アルミニウム合金製構体、油圧式ブレーキ・レールブレーキを採用、
アクティブサスペンションシステムを利用した強制式車体傾斜制御を採用。
勝田電車区(現・勝田車両センター)に配置、
常磐線や中央本線で160 km/h走行試験、半径300mを含む曲線区間で本則+45km/hの走行試験を実施。
試験終了に伴い1999年3月に廃車、同年6月に解体された。
直流1,500V、交流50Hz、20,000V、交流60Hz、20,000Vの全電化区間が走行可能な設計になっている。
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御。


JR東日本E993系電車

「ACトレイン」の愛称を持つ次世代通勤型車両の技術開発が目的で製造された試験用車両。
愛称の“AC”は「Advanced Commuter」の意であり、2002年に5両編成×1本=5両が製造、
クハE993形+サハE993形+モハE993形+モハE992形+クハE992形で編成、
川越電車区(現・川越車両センター)に配置、埼京線や中央本線で試験走行が行われた。
外吊り式客用扉、連接構造、直接駆動モーターや多彩な外装や車内設備を投入、
試験結果はそれ以降の新設計通勤型車両に反映され、特にE331系には多くが反映された。
試験終了に伴い、2006年7月に郡山総合車両センターへ回送、廃車された。


JR東日本E995系電車

「NEトレイン スマート電池くん」の愛称を持つ蓄電池駆動電車システム試験車両。
元は2003年にハイブリッド式気動車として製造されたE991系気動車キヤE991-1で、
2008年に燃料電池動車クモヤE995-1に改造され、型式番号も変更された。
気動車時代の愛称は「NEトレイン」で“NE”は「New Energy Train」の意。
JR東日本と鉄道総合技術研究所が共同開発した。
気動車時代は宇都宮運転所に所属、2007年3月にいったん廃車とし、
無車籍のまま燃料電池動車への改造され長野総合車両センター所属、
蓄電池駆動車に改造されて小山車両センターに所属、
2010年2月に新製車扱いで車籍が復活した。
電化区間は通常の電車として走行しながら同時に充電し、
非電化区間は充電された電力で走行する方式で試験走行され、
その成果が烏山線で投入されたEV-E301系電車に反映されている。
全長20m、片側両開き2扉、ステンレス製車体。

クモヤ143形
50番台
牽引車
クモヤ145形
牽引車
193系
電気検測車
E993系
「ACトレイン」


 新幹線


JR西日本500系900番台新幹線電車

「WIN350」の愛称のある山陽新幹線高速化を目的に製造された高速試験車。
最高速度350km/hの営業運転に向けてデータを収集するのを目的とし、
そのデータを元に500系を製作することが決められていた。
6両編成全車電動車で組成され、1992年4月に落成、編成番号はW0を付番。
1992年6月8日から試験走行を開始、同年8月8日に当時国内最高速の350.4km/hを達成、
1995年に試験走行が終了、1996年5月31日に付けで廃車、
先頭車の500-901が鉄道総合技術研究所風洞技術センター、
500-906が博多総合車両所で静態保存されている。
主電動機はかご形三相誘導電動機WMT923形及びWMT924形、モーター出力300kW、
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御、WN駆動。


国鉄921形新幹線電車

新幹線用の軌道検測車で「ドクターイエロー」と呼ばれる新幹線電気軌道総合試験車の一部。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。
試験結果は東海道・山陽新幹線は新幹線情報管理システムSMISに、
東北・上越、北陸新幹線は新幹線総合システムCOSMOSに送られ、保線作業データとして蓄積される。

921-1形

東海道新幹線開業前の1962年6月に旧型客車を改造された軌道検測車。
4000形4001号車として敷設後の軌道の不具合を確認、
開業後は921形921-1と改番、軌道検測車として活躍、
1978年には東北新幹線に転属、961形新幹線試作電車と共に投入、
地上設備監査、速度向上試験などに利用、1980年廃車解体。

921-2形

1964年の東海道新幹線開業に合わせ旧型客車より改造された軌道検測車、
種車はマロネフ29 11、全長は17.5m、単独走行できず921-1より測定項目は少ない。
1975年廃車、1976年浜松工場の車体解体設備で解体。

921-11形

新製された922形10番台T2編成の5号車に組込み、
電気、軌道を一元的に検測出来るようにしたもの。

921-21形

新製された922形20番台T3編成の5号車に組込み、
電気、軌道を一元的に検測出来るようにしたもの。

921-31形

東北・上越新幹線用の925形0番台S1編成組込み、
電気、軌道を一元的に検測出来るようにしたもの。

921-32形

1997年に200系中間車226-63を軌道観測車に改造、
主に長野新幹線の軌道観測に従事、S1編成もしくはS2編成に組込み使用。
2002年12月8日付で廃車。

921-41形

東北・上越新幹線用の925形10番台S2編成組込み、
電気、軌道を一元的に検測出来るようにしたもの。


国鉄922形新幹線電車

新幹線用の電気・信号測定車で「ドクターイエロー」と呼ばれる新幹線電気軌道総合試験車の一部。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。
試験結果は東海道・山陽新幹線は新幹線情報管理システムSMISに、
東北・上越、北陸新幹線は新幹線総合システムCOSMOSに送られ、保線作業データとして蓄積される。

922形0番台

東海道新幹線開業前に投入された試験車両1000形B編成を1964年に電気・信号系測定車に改造、
編成番号はT1編成、最高速度は200km/hだった。
1号車922-1は信号・通信測定車、2号車922-2は電気測定車、
3号車922-3は資材車、4号車は922-4き電気測定車である。
1975年に浜松工場車体解体設備の輪切りのテストのために廃車解体された。

922形10番台

老朽化した922形T1編成の代替として1974年に日立製作所で新造された電気軌道総合試験車。
外見上は0系新幹線車両を踏襲、5号車に921形921-11を組み込んだ計7両編成。
国鉄分割民営化後はJR東海に所属、後続のT4編成登場で2001年1月で運用を終了、
2001年10月に廃車、解体された。
最高速度は210km/h、電気方式は交流25,000V、60Hz、低圧タップ制御、WN駆動。

1号車/通信、信号、電気測定車
2号車/データ処理車
3号車/電源車(観測ドームあり)
4号車/倉庫、休憩室
5号車/軌道検測車(921形)
6号車/救援車(観測ドームあり)
7号車/架線磨耗測定車

922形20番台

T2編成の増備として1979年に東急車輛製造と日立製作所で新造された電気軌道総合試験車。
外見上は0系新幹線車両を踏襲、5号車に921形921-21を組み込んだ計7両編成。
国鉄分割民営化後はJR西日本に所属、後続のT5編成登場で2005年で運用を終了、
同年9月に廃車、922-26は博多総合車両所で保管、2011年3月に開館したリニア・鉄道館で展示中。
最高速度は210km/h、電気方式は交流25,000V、60Hz、低圧タップ制御、WN駆動。

1号車/通信、信号、電気測定車
2号車/データ処理・架線摩耗測定車
3号車/電源車(観測ドームあり)
4号車/倉庫
5号車/軌道検測車(921形)
6号車/救援車(観測ドームあり)
7号車/休憩室


JR東海923形新幹線電車

T2編成の老朽化に伴い2000年に登場した新幹線電気軌道総合試験車。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。
試験結果は東海道・山陽新幹線は新幹線情報管理システムSMISに保線作業データとして蓄積される。
東海道新幹線の300系以降への統一で270km/hでの走行が可能な車両として、
700系をベースに日立製作所笠戸事業所および日本車輌製造豊川製作所で製造。
JR東海が所有、最高速度は270km/h、電気方式は交流25,000V、60Hz、
主電動機はかご形三相誘導電動機、モーター出力275kW、
IGBT素子インバータ制御、WN駆動。

1号車/変電、電車線、信号、通信測定台、電気、施設測定機器
2号車/高圧室、電気関係測定機器
3号車/観測ドーム、電気倉庫、電力データ整理室
4号車/(軌道検測車)軌道検測室、施設データ整理室、施設倉庫
5号車/多目的試験、電源供給、観測ドーム、休憩室
6号車/ミーティングルーム、高圧室、電気関係測定機器
7号車/電気、施設測定機器、添乗室


JR西日本923形3000番台新幹線電車

T3編成の老朽化に伴い2005年に登場した新幹線電気軌道総合試験車。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。
試験結果は東海道・山陽新幹線は新幹線情報管理システムSMISに保線作業データとして蓄積される。
700系をベースに日立製作所笠戸事業所および日本車輌製造豊川製作所で製造。
JR西日本が所有、最高速度は270km/h、電気方式は交流25,000V、60Hz、
主電動機はかご形三相誘導電動機、モーター出力275kW、
IGBT素子インバータ制御、WN駆動。

1号車/変電、電車線、信号、通信測定台、電気、施設測定機器
2号車/高圧室、電気関係測定機器
3号車/観測ドーム、電気倉庫、電力データ整理室
4号車/(軌道検測車)軌道検測室、施設データ整理室、施設倉庫
5号車/多目的試験、電源供給、観測ドーム、休憩室
6号車/ミーティングルーム、高圧室、電気関係測定機器
7号車/電気、施設測定機器、添乗室


国鉄925形新幹線電車

東北・上越新幹線用に開業以前から登場した新幹線電気軌道総合試験車。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。
東北・上越、北陸新幹線は新幹線総合システムCOSMOSに送られ、保線作業データとして蓄積される。

925形0番台

1979年に日本車輛製造、近畿車輛、川崎重工業が製造、
編成番号はS1編成、軌道検測車は921-31に付番、200系の原形となった。
1997年の長野新幹線開業に伴い、周波数50/60Hz両用対応、勾配対策、軌道検測車は921-32に変更。
E926形S51編成の登場により2001年に廃車された。

925形10番台

東北・上越新幹線開業前に製造された962形試作車両を1983年に改造、
編成番号はS2編成、軌道検測車は921-41に付番、200系の原形となった。
東北・上越新幹線開業後は軌道検測車を抜いた6両編成で高速試験車として使用、
その結果を基に200系240km/h〜270km/h運転を実施、
1997年の長野新幹線開業に伴い、周波数50/60Hz両用対応、勾配対策、軌道検測車は921-32に変更。
E926形S51編成の登場により2003年1月25日付で廃車された。


JR東日本E926形新幹線電車

「East i」の愛称を持つ新幹線及び在来線標準軌区間の新幹線電気・軌道総合試験車。
2001年にE3系をベースに6両編成×1本=6両+1両が東急車輛製造で製造された。
「East i」は「イーストアイ」と読み、編成番号はS51編成。
当時の新幹線営業最高速度275km/hと同じ速度で検測可能、山形新幹線、秋田新幹線区間も検測可能、
北陸新幹線区間のために周波数50/60Hz両用対応、勾配対策、
3号車の軌道検測車はE926-3とE926-13の2両が存在、
E926形が全般検査などで使用できない時はE926-3もしくはE926-13を、
E2系N21編成に組み込んで軌道検測が行えるようになっている。
電気方式は交流25,000V、50/60Hz及び交流20,000V、50Hz、
主電動機はMT205形、モーター出力300kW、
IGBT素子VVVFインバータ制御、WN駆動。

1号車/E926-1/通信(LCX、在来線列車無線)、電力(架線間隔測定)、信号(ATC用)
2号車/E926-2/通信、測定用電源
3号車/E926-3及びE926-13/軌道
4号車/E926-4/電力(集電、検測兼用パンタグラフ)
5号車/E926-5/電力、信号
6号車/E926-6/電力(架線間隔測定)、信号(ATC用)


国鉄941形新幹線電車

新幹線用の救援車で「ドクターイエロー」と呼ばれる新幹線電気軌道総合試験車の一部。
新幹線電気軌道総合試験車は車体が黄色に塗られていることから「ドクターイエロー」と呼ばれる。

東海道新幹線開業前に投入された試験車両1000形A編成を1962年8月に電気試験車に改造、
1964年に救援車に再改造したもので、最高速度は200km/hだった。
1号車941-1は資材室、2号車941-2は救援要員用座席40席、工具棚などが設置、
救援車として一度も出動することなく、
1975年に浜松工場車体解体設備の輪切りのテストのために廃車解体された。


国鉄951形新幹線電車

山陽新幹線部分開業に伴い、250km/h運転の車両開発のために製造した試験車両。
1972年3月の山陽新幹線新大阪−岡山間の開業に伴い、
当時の営業最高時速210km/hを250km/hまで上げるために2両編成で製造された。
外見は0系を踏襲しており、新大阪向き制御電動車は川崎車輛製951-1、
東京向き制御電動車は日本車輌製造製951-2である。
軽量化のため新幹線では初のアルミ合金製車体を採用された。
1969年4月から試験が開始され、枕木割損事故で一時中断したものの、
1972年2月24日には当時の最高速度286km/hを達成、
1980年4月11日付で廃車、廃車後は鉄道技術研究所(現・鉄道総合技術研究所)に移管、
各種試験ののち、951-2は2008年1月16日に解体、
951-1は国分寺市の複合施設「ひかりプラザ」で静態保存。
主電動機はMT916形及びMT917形、モーター出力185kW、WNドライブ。


JR東日本952形・953形新幹線電車

「STAR 21」の愛称を持つ環境対策を兼ね備えた新型車開発のために製造した高速試験車両。
1992年に騒音、微気圧波、地盤振動等の低減などの環境対策を進めるため、
952形非連接車4両と953形連接構造車両5両で1編成を構成、
愛称名の「STAR 21」は「Superior Train for Advanced Railway toward the 21st century」の略で、
「21世紀の素晴らしい電車」の意味。
952形はアルミ合金製、953形はアルミ合金及びジュラルミン製、
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御。
1992年3月27日から東北・上越新幹線で試験走行を開始、
1993年12月21に最高速度425km/hを達成している。
1998年2月17日付けで廃車、先頭車952-1が財団法人鉄道総合技術研究所風洞技術センターに、
先頭車953-5と中間車両953-1はJR東日本新幹線総合車両センターに静態保存されている。

1号車/952-1/東京方制御電動車。新製時は制御付随車で1993年に制御電動車に改造。
2号車/952-2/中間電動車。改造後は3号車に変更。
3号車/952-3/中間電動車。改造後は4号車に変更。2+2の座席を配置。
4号車/952-4/中間電動車。改造後は2号車に変更。新製時は制御付随車で1993年に制御電動車に改造。
5号車/953-1/中間付随車。252-4とは通常のボギー構造。2+2の座席を配置。
6号車/953-2/中間電動車。2+2の座席を配置。
7号車/953-3/中間電動車。2+2の座席を配置。
8号車/953-4/中間電動車。2+2の座席を配置。
9号車/953-5/盛岡方制御電動車。2+2の座席を配置。


JR東日本E954形新幹線電車

「Fastech 360 S」の愛称を持つ2005年6月に登場した新幹線用高速試験電車。
愛称名は「ファステック 360 エス」と読み、FASTECHシリーズの第1編成である。
最高速度360km/hで営業運転を行うためのデータ収集を目的として開発された車両で、
6M2Tの8両編成で組成され、1号車の前面形状は「ストリームライン」と呼ばれ、
8号車の前面形状は「アローライン」と呼ばれ、また空気抵抗増加装置も装備された。
8号車先頭部には「Fastech 360 Z」との連結器を備える。
2006年2月21日からは日中の走行試験も行い、データを収集、
その結果、360km/h運転には課題が残ったため、320km/hでの営業運転となった。
これらの結果を受けて誕生したのがE5系である。
試験終了後にE954形は全車が廃車、解体され保存車両はない。
設計最高速度405km/h、最高速度360km/h、
主電動機はかご形三相誘導電動機及び永久磁石同期電動機、
IGBT素子VVVFインバータ制御、TD平行カルダン駆動。


JR東海955形新幹線電車

300系新幹線に続く次世代車両としてJR東海が1995年に製造した高速試験用車両である。
通称は「300X」、編成番号はA、6両編成×1本=6両が新造。
先頭車両の形状が異なり、東京方はラウンドウェッジ型、博多方はカスプ型となっている。
1996年7月26日に443.0km/hを記録、2002年2月1日付けで廃車。
955-1は財団法人鉄道総合技術研究所・風洞技術センターで静態保存、、
955-6はJR東海浜松工場で保存、2011年3月14日からリニア・鉄道館で静態保存。
25m級、アルミニウム合金車体、主電動機はかご形三相誘導電動機、モーター出力405kW、
GTOサイリスタ素子VVVFインバータ制御。

955-1/1号車/博多方制御電動車。先頭形状はカスプ型。
955-2/2号車/中間電動車。パンタグラフ搭載。
955-3/3号車/中間電動車。
955-4/4号車/中間電動車。
955-5/5号車/中間電動車。パンタグラフを搭載。
955-6/6号車/東京方制御電動車。先頭形状はラウンドウェッジ型。


JR東日本E955形新幹線電車

「Fastech 360 Z」の愛称を持つ2005年6月に登場した新幹線用高速試験電車。
愛称名は「ファステック 360 エス」と読み、FASTECHシリーズの第2編成である。
最高速度360km/hで営業運転を行うためのデータ収集を目的として開発された車両で、
新在直通運転用で電気方式交流25,000V、50Hzと交流20,000V、50Hzに対応している。
全車電動車の6両編成で組成され、先頭車前面形状は「アローライン」だが、
トンネル微気圧波の影響を検証のため長さが13mと16mに異なる。
また空気抵抗増加装置も装備され、「Fastech 360 S」との連結器を備える。
2006年2月21日からは日中の走行試験も行い、データを収集、
その結果、新幹線区間の360km/h運転には課題が残ったため、320km/hでの営業運転となった。
これらの結果を受けて誕生したのがE6系である。
試験終了後にE955形は全車が廃車、解体され保存車両はない。
設計最高速度405km/h、最高速度360km/h、
主電動機はかご形三相誘導電動機及び永久磁石同期電動機、
IGBT素子VVVFインバータ制御、TD平行カルダン駆動。


国鉄961形新幹線電車

全国新幹線網対応車両として1973年に国鉄が試作した試験車両。
東北新幹線での走行実験を想定して雪切室を設置された。
6両編成×1本=6両が川崎重工業、日本車輛製造、日立製作所で製造された。
外見上は0系を踏襲し、全電動車で製造された。
完成後に大阪から岡山で走行試験を実施、浜松工場で改装の上、
1979年に小山実験線(現・東北新幹線小山駅付近)で走行実験、
当時の電車の世界最高速度記録の319km/hを記録している。
1990年8月10日付けに廃車され、
先頭車の1号車と6号車は200系に準じた塗色に変更の上、
仙台の新幹線総合車両センターに保存されている。
25m級、アルミ合金製ボディマウント構造、全電動車、電気方式は交流25,000V、50/60Hz、
主電動機は直巻整流子電動機MMT920形、モーター出力275kW、
サイリスタバーニア連続位相制御、WN並行カルダン駆動。


国鉄962形新幹線電車

東北・上越新幹線開業を想定して営業車両の先行試作車として製造された試験用車両。
961形をベースとしているが、電気装備品を交流50Hz、25000V専用、6両編成全電動車で組成、
スノウプラウ、雪切り室など徹底的な耐寒耐雪対策が施された。
1979年2月22日から1980年6月まで小山試験線で試験を実施、
開業前の上越新幹線に移動して試験を実施、1983年1月17日に電気試験車に改造、
925形10番台に改番、2003年1月25日に老朽化のため廃車となった。
主電動機は直巻整流子電動機MT201X形、モーター出力230kW、
サイリスタバーニア連続位相制御、WN並行カルダン駆動。


国鉄1000形新幹線電車

東海道新幹線開業前にモデル線での走行試験用に製造されたの試験車両。
A編成2両とB編成4両が製造され、走行速度やすれ違い時の試験などを2ヶ月にわたって実施した。
A編成は1001+1002、B編成は1003+1004+1005+1006で編成。
1962年6月に鴨宮基地を拠点に試験走行を開始、同年7月に110km/h、9月に160km/h、
10月に200km/h、1963年3月に当時の世界最高速度256km/hを記録、6月に併結運転を実施。
1962年8月にA編成は観測ドームなどを設置して架線試験車に改造、
1964年7月にB編成が922形電気試験車に改造、同年8月にA編成が941形救援車に再改造、
1975年8月15日に浜松工場の新幹線車両の車体解体設備の試運転材料となり編成とも廃車解体された。





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